はじめに
150銘柄以上の日本株を保有しています。
ひとつ、質問です。
その中で一番「買値利回り(YOC)」が高い銘柄、何%くらいだと思いますか?
10%?
15%?
それとも20%?
——正解は、25%超でした。正直、自分たちでも少し驚いています。
ただ、その一方で。同じ150銘柄以上の中には、ほぼ配当ゼロの銘柄も普通に混ざっています。
今回は、2019年から投資を続けてきた我が家のポートフォリオをもとに、保有中150銘柄以上から算出したYOCランキングを、夫婦それぞれ【BEST5/WORST5】で全部出します。きれいな数字だけではありません。うまくいった銘柄も、正直「これは伸びなかったな…」という銘柄も、そのままです。
たまには、数字を前に出す回があってもいいかなと思いました。
そもそも「YOC」って何のこと?
ランキングに入る前に、さらっと言葉の整理だけさせてください。
YOCというのは、「Yield on Cost」の略で、
「自分が買った値段に対して、いまどれくらい配当をもらえているか」
を見る指標です。
普段よく目にする「配当利回り」は、
“いまの株価”を基準にした数字。
一方でYOCは、
“自分が実際に買ったときの価格”を基準にした数字です。
同じ銘柄・同じ配当額でも、
・高い株価で買った人
・安い株価で買った人
では、毎年の「お得さ」はまったく変わってきます。
その差を、そのまま可視化したのがYOCです。
通常の利回り: 現在の配当 ÷ 現在の株価
YOC: 現在の配当 ÷ 自分が買った時の株価
ここで1つ具体例を。
| 項目 | Aさん(今買う人) | 我が家(2020年購入) |
| 購入価格 | 約4,000円 | 1,144円 |
| 年間配当 | 196円 | 196円 |
| 利回り(YOC) | 約4.9% | 17.13% |
ゆる配夫同じ1株を持っていても、「いつ、いくらで買ったか」が違うだけで、毎年お財布に入ってくるお金の重みが3倍以上も変わってくる。これがYOCの面白さであり、恐ろしさなんです。



6年かからずに元金以上の配当金がもらえるってことか。すごすぎね!
つまり、株価が安い時に仕込んで、その後に企業が増配(配当を増やすこと)をしてくれると、このYOCはどんどん跳ね上がっていきます。
今回のランキングは、まさに我が家の「投資の歴史」そのもの。それでは、まずはゆる配夫のランキングから見ていきましょう。
ゆる配夫のYOCランキング BEST5
ゆる配夫のポートフォリオは、2020年〜2021年の「あの頃」に仕込んだ銘柄が、今となっては驚異的な数字を叩き出しています。
| 順位 | 銘柄名(コード) | 取得単価 | 最新予想配当 | YOC(利回り) |
| 1位 | グローバルリンクM(3486) | 391円 | 100円 | 25.58% |
| 2位 | エクセディ(7278) | 1,298円 | 300円 | 23.11% |
| 3位 | 霞ヶ関キャピタル(3498) | 745円 | 165円 | 22.15% |
| 4位 | ムゲンエステート(3299) | 612円 | 114円 | 18.62% |
| 5位 | タマホーム(1419) | 1,144円 | 196円 | 17.13% |
5位のタマホームでさえ、YOCは17.13%。
もし仮に100万円分をこの単価で持っていたら、それだけで毎年17万円以上の配当が積み上がる計算です。



5位で17%って……。もう、感覚がバグりそうだね。



1位のグローバルリンクなんて、あと数年持てば配当だけで元が取れちゃうじゃない。



当時はコロナ禍で地合いが怖かったけど、あの時ボタンを押した自分を、今日だけは褒めてもいいかな。
■ BEST5に共通していた3つの特徴
今回BEST5に並んだ銘柄をあらためて眺めてみると、実ははっきりした共通点がありました。
ひとつ目は、取得時期がほぼ2020年〜2021年に集中していること。コロナ禍で先行きが見えず、多くの投資家が様子見をしていた時期です。今でこそ高配当・優良銘柄として語られる企業も、当時は決して注目の存在ではありませんでした。
ふたつ目は、購入当時に「高配当株」として扱われていなかったこと。エクセディやムゲンエステート、グローバルリンクMも、取得時点では利回りが特別高かったわけではありません。業績回復や配当方針の変化、増配が積み重なった結果として、現在のYOCが作られています。
そして三つ目は、買ったあとに“何もしなかった”こと。頻繁に売買せず、多少の含み益や含み損に一喜一憂せず、ただ保有を続けた。その結果が、今の数字です。
BEST5の正体は、銘柄選択の巧さというよりも、「あの時期に、動かなかった人の記録」だったのかもしれません。
ゆる配妻のYOCランキング BEST5
続いては妻のランキング。ゆる配夫と似た銘柄も多いですが、実は不動産や中小型のセクターにおいて、夫よりもさらに鋭いタイミングで仕込んでいたことが数字に表れました。
| 順位 | 銘柄名(コード) | 取得単価 | 最新予想配当 | YOC(利回り) |
| 1位 | グローバルリンクM(3486) | 376円 | 100円 | 26.60% |
| 2位 | ムゲンエステート(3299) | 510円 | 114円 | 22.35% |
| 3位 | エクセディ(7278) | 1,600円 | 300円 | 18.75% |
| 4位 | ジャパンインベストメントA(7172) | 740円 | 106円 | 14.31% |
| 5位 | 三菱UFJフィナンシャルG(8306) | 580円 | 74円 | 12.76% |
1位はYOC 26%超え、2位も20%を大きく超える水準。
3位・4位にはエクセディとジャパンインベストメントAが入り、不動産株だけでなく、輸送用機器や証券セクターでも高いYOCを叩き出しています。
さらに5位の三菱UFJフィナンシャルGも、まだ「銀行株は万年割安」と言われていた時代に500円台で拾っていたおかげで、今では二桁利回りに育っています。



「ふふふ……。1位は驚異のYOC 26%超え。私のほうがちょっとだけ安く買えてます。



……確かに。僕が買った単価を知った上で、それを下回るまで待って買ってるのも知ってるよ(笑)



銀行株も、この高利回りの銘柄たちも、信じて持ち続けて本当によかったわね。
※今の配当利回りは、出していません。また後日あらためてまとめます。
今回は「買ったタイミング」でここまで差が出た、という話です。
※ グローバルリンクM(3486)は2026年12月期の年間配当予想(仮)の数字です。
ゆる配夫のYOCランキング WORST5
ここからは「光」ではなく「影」の部分。
「投資って難しいよね」と、身をもって実感させてくれる、低空飛行銘柄たちをさらけ出します。
| 順位 | 銘柄名(コード) | 取得単価 | 最新予想配当 | YOC(利回り) |
| 1位 | 日産自動車(7201) | 529円 | 0円 | 0.00% |
| 2位 | アンジェス(4563) | 710円 | 0円 | 0.00% |
| 3位 | アトラグループ(6029) | 325円 | 0円 | 0.00% |
| 4位 | 楽天グループ(4755) | 868円 | 0円 | 0.00% |
| 5位 | ラックランド(9612) | 2,200円 | 0円 | 0.00% |
ワーストは、軒並み利回り0%。
日産のように業績悪化で無配になったものもあれば、投資初期に「なんだか凄そう」という雰囲気だけで手を出してしまった銘柄の跡地でもあります。



ここは僕の『迷走の歴史』そのもの。2位と3位は、もう言葉が出てこない(笑)



アンジェス……。当時はすごく話題になってた記憶があるけど……。



……よし、次に行こうか。これも隠さないのが我が家のスタイルだからね。
ゆる配妻のYOCランキング WORST5
ゆる配妻のワーストは、ゆる配夫のような「事故」というよりは、配当よりも別の目的を持って保有している銘柄たちが並びました。
| 順位 | 銘柄名(コード) | 取得単価 | 最新予想配当 | YOC(利回り) |
| 1位 | フラー(387A) | 1,170円 | 0円 | 0.00% |
| 2位 | フジ(8278) | 2,000円 | 30円 | 1.50% |
| 3位 | イオン(8267) | 843.02円 | 14円 | 1.66% |
| 4位 | ハーバー研究所(4925) | 2,384円 | 40円 | 1.68% |
| 5位 | 北の達人(2930) | 153円 | 3.5円 | 2.29% |
2位~5位は、配当金こそ控えめですが、株主優待によるメリットが非常に大きい銘柄です。YOCの数字だけでは見えない「家計への貢献度」があります。



私のワーストは、配当じゃなくて『優待愛』の証よ。イオンのキャッシュバックは最強だし、ほとんど化粧品の株主優待の銘柄ね。



1位のフラーはIPOの成長期待枠だね。いつか値上がりか、配当が出る日が来るのを気長に待とう。
※ちなみにWORSTに入ったからといって、すぐに「売り候補」になるわけではありません。復配待ちや優待目的など、数字以外の保有理由がしっかりあるからです。
WORSTは「失敗」ではなく、ポートフォリオの役割
今回のWORSTランキングを見ると、利回り0%や1%台の銘柄が並びます。数字だけを見ると、「これは失敗なのでは?」と思われるかもしれません。
でも、私たち自身はあまりそうは考えていません。なぜなら、これらの銘柄は“配当利回り”だけを目的に買ったわけではないからです。
日産や楽天のように、業績回復や復配を待つ銘柄。イオンやハーバー研究所のように、配当よりも株主優待や生活への実利を重視している銘柄。フラーのように、配当はなくても将来の成長を期待して保有しているIPO銘柄。それぞれに、役割があります。
実はフラーIPO当選後の売り忘れです(笑)。でも、そんな失敗もポートフォリオ全体で見れば、育ったお宝銘柄たちがカバーしてくれる。それが分散の良さですね。」
ポートフォリオ全体で見れば、一部に利回りの低い銘柄があっても問題ありません。むしろ、BEST側の高YOC銘柄がしっかり育っているからこそ、こうした銘柄を“焦らず待てる”余裕が生まれています。
WORSTは失敗の証ではなく、投資スタイルの幅がそのまま可視化された結果。そう捉えています。
ポートフォリオ全体で見た 「各銘柄の取得金額を加味した、加重平均YOC」※
ちなみに、今回集計した150銘柄以上のポートフォリオ全体を「取得単価ベース」
配当のみ(優待を含めない)でならしてみると、
・ゆる配夫の平均YOC:5.69%
・ゆる配妻の平均YOC:5.74%
という結果でした。
BEST5のような25%超の銘柄は一部ですが、
それでも全体として6%手前まで底上げされている。NISA口座の比率があがればさらに上がる!はずです。
これが、150銘柄以上に分散して長く持ち続けた結果です。
ここで紹介している「利回り」は、あくまで我が家が「過去の安い時期に購入した価格」に対する現在の利回りYOC(取得価格に対する利回り)です。
今から同じ銘柄を購入しても、株価の上昇によりこれほどの高利回りにはならないケースがほとんどです。投資を検討される際は、必ず「現在の株価」と「将来の減配リスク」をご自身でチェックしてくださいね。
同じ銘柄でもここまで違う。共通保有10銘柄のYOC比較
さて、今回のハイライトです。同じ屋根の下で暮らし、同じ銘柄に注目していても、「いつ、いくらでボタンを押したか」というタイミングの差が、これほどの結果の違いを生みました。
| 銘柄名 (コード) | ゆる配夫のYOC | ゆる配妻のYOC | 取得タイミング・スタイルの差 |
|---|---|---|---|
| 三菱商事 (8058) | 14.35% | 3.83% | バフェット報道前の夫 vs 新NISAの妻 |
| ムゲンエステート (3299) | 18.62% | 22.35% | 夫の分析後、さらに引きつけた妻 |
| グローバルリンクM (3486) | 25.58% | 26.60% | 二人ともコロナ後の好機を逃さず |
| エクセディ (7278) | 23.11% | 18.75% | 夫が先行して仕込みに成功 |
| 日本たばこ産業 (2914) | 10.41% | 10.74% | 二人とも2,000円割れでしっかり確保 |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 12.71% | 12.76% | 銀行冬の時代に夫婦で買い向かった記録 |
| ジャパンインベスト (7172) | 14.19% | 14.31% | ほぼ同時にポチった仲良し銘柄 |
| 三菱HCキャピタル (8593) | 7.26% | 9.56% | 妻のほうがより深い押し目で拾った結果 |
| 双日 (2768) | 6.60% | 4.91% | 商社株は夫のほうが全体的に低単価 |
| ソフトバンク (9434) | 6.66% | 6.01% | 夫が底値付近で勇気の買い増し |
もっとも顕著な差が出たのは、やはり三菱商事。
「バフェットさんが買うらしい」というニュースが出るずっと前から持っていたゆる配夫と、新NISAが始まってから「やっぱり商社は外せないよね」と買ったゆる配妻。
受け取れる配当金の「重み」が、利回りにして3倍以上も違っています。



三菱商事の差が……。同じ銘柄なのに、こんなに景色が違うのね。



2020年の、あの暴落時期『ほとんどの人が商社なんて見ていなかった時期』の差がこれだね。



よし、次は夫が目をつけた銘柄をさらに1週間寝かせてから買うわ!



それはただ、僕を実験台にしてるだけじゃないか……(笑)
一方で、不動産やリース銘柄(ムゲンエステートや三菱HCキャピタル)では、ゆる配妻のほうがより「引きつけて」買っている傾向がありました。商社はゆる配夫、不動産はゆる配妻、といった具合に、微妙に「得意な拾い場」が分かれているのが面白いところです。
■ なぜ150銘柄も保有しているのか
ここまで数字を並べてきて、「そもそも、なぜ150銘柄以上も保有しているの?」と思われた方もいるかもしれません。



正直に言うと、最初から150銘柄を目指していたわけではありません。
2019年に投資を始めてから、その時々で「これは長く持ちたい」「これは配当を育てたい」「これは優待目的」と少しずつ積み上げてきた結果、気づけばこの数になっていました。
銘柄数が多いと管理が大変に見えますが、その分、一つひとつの値動きに一喜一憂しなくなります。どれかが大きく育てば、どれかが伸び悩んでも全体としては前に進む。150銘柄という数は、リスクを分散するためというよりも、「感情を分散するため」に必要だったのかもしれません。
今回のランキングで25%を超えるYOCが生まれたのも、150以上の銘柄に分散していたからこそ、途中で売らずに持ち続けられた結果です。少数精鋭だったら、ここまで我慢できなかったかもしれません。
銘柄数は目的ではなく、あくまで結果。その積み重ねが、今のポートフォリオを形作っています。
本質パート:YOCは「過去の通信簿」
今回、自分たちのポートフォリオをYOC(買値利回り)という切り口で整理してみて、改めて気づいたことがあります。
それは、「取得単価は、一度買ったら変えられない」ということです。
私たちがどんなに願っても、市場の株価をコントロールすることはできません。
でも、「いつ、いくらでボタンを押すか」だけは、自分たちで決めることができます。
目先の利回りに一喜一憂せず、数年後の景色を想像して種をまく。
同じ銘柄を持っていても、3年前の自分と今の自分では、受け取れる「果実」の大きさが全く違います。
三菱商事のように、タイミングが数年ずれるだけで、利回りが爆発的に変わってしまう。
これは才能ではなく、単に「その時に、その場所にいたかどうか」。
もちろん、ワーストランキングにあるような、無配に転落した銘柄もたくさんあります。
それでも150銘柄以上に分散しているからこそ、一部の「成長した銘柄」たちが、ポートフォリオ全体を力強く牽引してくれている。
YOC 25%という数字は、私たちが何か特別な魔法を使った結果ではありません。
お伝えしたいのは、YOCは才能じゃない。
ただ「いつ買ったか」の記録です。
本ブログで紹介している運用実績や投資手法は、あくまで「ゆる配ファミリー」の実体験に基づく個人の感想です。投資には元本割れのリスクがあります。将来の利益を保証するものではありませんので、最終的な投資決定は、ご自身の判断と責任でお願いいたします。2026年現在の税制や各サービスの規約に基づき執筆していますが、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。


