はじめに
「恩株(おんかぶ)」という言葉を聞いたとき、皆さんはどんな景色を思い浮かべますか?
投資したお金を、配当金だけで全額回収した状態。
もはや「タダでもらった株」が、一生チャリンチャリンとお金を生み出し続ける……。
投資家にとって、それはひとつの「聖域」であり、到達点ですよね。
「億り人なら、恩株なんてゴロゴロあるんでしょ?」 「南の島で優雅に恩株の配当を数えてるんじゃないの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、現実はそんなに甘くありません。
今回は、我が家の全保有銘柄を、NotebookLM(AIによる表計算・分析ツール)の力も借りて徹底的に洗い出し、
かなり厳しめの定義で「恩株」を数えてみました。
結論から言います。 我が家のポートフォリオに、恩株は一銘柄もありません。ゼロです。
でも――。 その「ゼロ」という数字の中身を分解してみると、とんでもなく面白い景色が見えてきたんです。
簡単に言うと、「配当金(とお得な優待)の合計が、最初に買った株代金を超えた株」のこと。
- ステップ1: 10万円で株を買う
- ステップ2: 毎年5,000円の配当をもらい続ける
- ステップ3: 20年後、配当の合計が10万円に到達!
この瞬間、手元には「回収した10万円」と「10万円分の株」が両方残ります。 つまり、その株はあなたにとって「実質タダ」になったということ。これが「恩株」です。
ゆる配夫一度こうなれば、もう勝ち確! 株価が上がれば嬉しいし、もし暴落して半分になっても、元本はもう回収済みだからダメージはゼロ。『永久に配当を出し続けるATM』を無料で手に入れたようなもんだよ



やっぱり5~6年じゃまだ恩株にならないのね!
ゆる配流「恩株」の合格ライン
まず前提として、今回の「恩株」はかなり厳しく定義しました。巷の「実質恩株(含み益込み)」という言葉に逃げないための、自分たちへの戒めでもあります。
ゆる配版:恩株の4ルール
- 配当金(税引後)+ 金券優待のみで、取得総額を100%回収していること
- 含み益は含めない(売らなければ現金化されない「幻」だから)
- 売却益やTOB益も含めない(その銘柄が「自力」で元を取ったかを見たいから)
- 現在保有中の銘柄のみ
いわば、その株が「自分の力だけで、お財布から出ていったお金を全額取り戻してくれたか」という、
究極の自立心(?)を問うルールです。



含み益を入れたら、タマホームなんて余裕で恩株達成なんだけどね。でも、それだと『配当金だけで生きていく』という僕らの夢の、本当の難易度が見えなくなっちゃう気がして。



『画面上の数字(含み益)が増えてるなら、それで十分ハッピーじゃない♪』って思っちゃうんだけど。まあ、でもそうやって厳しく仕分けることで、『本当に一生、私を支えてくれる王子様銘柄』が誰なのかハッキリするのは、ちょっと面白いわね(笑)


恩株はまだない。でも、着実に「ゴール」は見えている。
このドSなフィルターを通した結果、我が家の成績はこうなりました。 恩株達成銘柄:0。
「なんだ、やっぱり数年じゃ無理ゲーじゃないか」 そう思う前に、この生々しいデータを見てください。ここからが本当の「資産運用のリアル」です。
■ ゆる配夫のポートフォリオ(約120銘柄)
- 平均元本回収率(配当+優待):約11.2%
- 恩株達成までの推定平均年数:約9.5年
平均すると、まだ元本の1割ちょっとしか削れていません。 数字だけ見ると、かなり地味ですよね。10年近く持たないと恩株にならないのか……と絶望しそうになります。 でも、上位層は全く違う景色を見ています。
- タマホーム:75.5%(あと一息!)
- 商船三井:46%
- エクセディ:44%
- 三菱商事:39%
- JT・ムゲンエステート:30%台
トップ層はすでに、“折り返し地点”を越え始めている。これが現実です。
実際にタマホームを5年間保有して、YOCがどう変化したのかは、こちらの記事で詳しくまとめています。
👉【タマホームYOC17%超の記事】
■ ゆる配妻のポートフォリオ(約40銘柄)
- 平均元本回収率(配当+優待):約4.8%
- 恩株達成までの推定平均年数:約12.2年



私の口座はまだ回収初期段階ね。でも、持ってる銘柄はあなたとほぼ同じなのよ。グローバルリンクM、JT、三菱UFJ、丸紅……。違うのは『腕』じゃなくて、単に『時間』なのよね
ここでわかるのは、投資の「うまい・下手」ではなく、「スタートのタイミングと保有年数の差」だということです。



残酷なことを言うようだけど、2人の差は『才能』じゃない。単に僕の方が数年早くリスクを取って、暴落の恐怖の中でポチポチ買い集めていた時間の差でしかないんだ



なーんだ。あなたが天才なんじゃなくて、ただの『先着順』なのね。それなら私が今からじっくり持っておけば、数年後には今の夫さんを追い抜けるってことじゃない♪
回収率を“時間軸”で見るとどうなるか
今回、データを分析して見えてきたのは、非常に興味深い「回収カーブ」でした。
- 保有1〜2年:回収率 5%未満(まだ芽が出たばかり)
- 保有3〜4年:10〜20%(地味だけど着実)
- 保有5年:30〜40%(お、加速してきた?)
- 保有8〜10年:100%到達圏内(ついに恩株へ!)
つまり、恩株への道は一定のスピードで進む「直線」ではなく、後半にグンと伸びる「後半加速型」なんです。 特に、YOC(取得単価に対する利回り)が10%を超え始めると、元本回収のペースが一段階ギアを上げます。
YOCと回収率のズレが面白い
ここ、今回いちばん重要なポイントです。
- エクセディ:YOC 約23% / 回収率 44%
- タマホーム:YOC 約17% / 回収率 75%
数字だけ見ると、「YOCが高い=もう恩株目前でしょ?」と思いがちですが、そうではありません。
YOCは「いまの速度(スピード)」。 回収率は「積み上がった距離(ディスタンス)」。
エクセディは現在、時速230km(YOC23%)の爆速で走っていますが、まだコースの半分も走っていません。
対してタマホームは時速170km(YOC17%)ですが、すでにゴールの75%地点まで来ています。
スピードがいくら速くても、残りの距離が長ければ到達しません。
でも逆に言えば、スピードが速い銘柄は、確実に、そして猛烈な勢いでゴールへ近づいているということです。



なるほどね。『最高速度』にうっとりするのもいいけど、結局ゴールテープを切れるかどうかは『どれだけ長く走ったか』で決まるってことね。これって、フルマラソンを全力疾走で追い越そうとするより、早起きして歩き始めてる人の方が先にゴールしちゃうようなものかしら?



まさにその通り!だからこそ、今のスピード(利回り)に一喜一憂せずに、どっしり構えて距離を稼ぐのが大事なんだよね
利回りが最初は低くても、その後の成長でどんどん回収フェーズに入っていく銘柄もいくつかあります。
主に、IPOセカンダリー的な位置づけで買った銘柄に多い印象です。


タイムマシーンがあったら戻りたい?2020年が「黄金期」だった理由
今回、回収率30%超の銘柄を分析すると、明確な共通点がありました。
- 取得時期:2020年前後の暴落〜不安期に仕込み、そのまま「持ち続けた」こと。
- セクター:建設、海運、商社、不動産。
- 還元姿勢:株主還元を強める企業であること。



結局、増配し続ける企業を選んで、あとは寝て待つ。無配や減配が続く銘柄は、恩株への時間が止まっちゃうからね。そこだけはシビアに見てるよ
一方で「高配当」と「値上がり狙い」は罠にもハマりました・・・・


「ゼロ」だからこそ伝わること
「まだ道の途中」という、配当投資のリアルな時間。
もし今回、僕が「恩株をいくつも持っています!」なんてキラキラした報告をしていたら、きっと多くの読者は「元手があるからでしょ」と冷めてしまったはずです。
でも、どれだけ資産が増えても、恩株作りにおいて「時間」だけはショートカットできません。 「恩株ゼロ」という我が家の現在地が、何よりの証拠です。
- 5年では、まだ種から芽が出たところ。
- 利回りが育っても、すぐに回収は終わらない。
- 8〜10年じっくり待って、ようやく「タダ株」が見えてくる。
これは、資産が100万円の人でも、それ以上ある人でも、全員に平等に流れる「再現可能な時間軸」なんです。
よく言われる「時間だけはみんな平等」というやつです。
僕らが“時間を味方にする設計”をどう考えているかは、こちらで詳しく書いています。



正直、1銘柄くらいはドヤ顔で出したかったんだけどね(笑)。でも、嘘偽りなく『ゼロ』だったことで、投資に一番大切なのは『お金の多さ』ではなく『待てる時間の長さ』なんだって、僕自身も再確認できたよ



120銘柄がまだ『三合目』なら、私の40銘柄なんて、まだ靴紐を結び直してるところね(笑)。でも、急いでもしょうがないもの。『時間が解決してくれる』と思えば、逆に安心して寝て待てるわね
含み益3,000万円台の裏側には、「−85%」の銘柄も同居しています。その話はこちらで正直に書きました。
まとめ
恩株は、決して一部の天才投資家だけに許された奇跡ではありません。 データが示しているのは、
「5年で3〜6割削れ、8〜10年で射程圏に入り、増配が続けばやがて到達する」
という、地味だけれど確かな、そして圧倒的な確実性がある道筋です。 我が家はまだゼロ。
でもその中身は、75%、46%、44%、39%……という、企業と僕たちが一緒に歩んできた数字の集合体でした。
恩株はまだ完成していません。 でも、もう「ゴールテープ」は見えています。 この「あと少しで手が届く」という状態こそが、配当投資のいちばん面白い瞬間なのかもしれません。





あと数年もすれば、我が家にも記念すべき『タダ株』が誕生するのね。その時は、美味しいものでもお祝いしましょう



そうだね。皆さんのポートフォリオにある未来の恩株候補も、今この瞬間、着実に元本を削ってくれているはずだよ!
まずは、皆さんの保有銘柄の「回収率」をざっくり計算してみてください。含み益ではなく、
“どれだけ元本を回収できたか”という視点でグラフを眺めてみると、また違う投資の景色が見えてくるかもしれません。
本ブログで紹介している運用実績や投資手法は、あくまで「ゆる配ファミリー」の実体験に基づく個人の感想です。投資には元本割れのリスクがあります。将来の利益を保証するものではありませんので、最終的な投資決定は、ご自身の判断と責任でお願いいたします。2026年現在の税制や各サービスの規約に基づき執筆していますが、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
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